こんにちは。
今日はたまーにある修理の中底交換の話です。
まずはこちらをご覧ください。
靴底に穴があいてしまっています。
通常マッケイの靴は
地面と接するアウトソール。
足と接するインソール。(※中敷きではなく中底のこと。中敷きはインソック)
これらを縫い合わせて構成しています。
通常のオールソールであればアウトソールを交換してまた履けるようにしていくのですが
修理のタイミングが遅れるとこのようにインソールまで貫通してしまうのです。
ならインソールも交換しちゃえばいいじゃーん♪とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、ドッコイそうもいかない河童の屁。
インソールは木型の形状に添わせて作られているのでフィッテイングやサイズ感に影響を及ぼす大事なパーツなのです。
純正木型があれば同じように作れるでしょうが、こと修理においては現状の中底パーツから逆算して作成する必要があります。
アッパーの伸びやクセつきも考慮して作業しなくてはならないため神経も使います。
そこまでして交換してもこれまでのような履き馴染んだフィット感とは異なる履き心地になるでしょう。
つまり前提として、中底交換をせずに済むタイミングで修理に出されるのがオススメです。
とは言え今回のように摩耗してしまったり
そうでなくても履き込むうちに硬化し割れて砕ける事例も少なくありません。
その場合はやはり新しく作成する必要が出てきます。
ではどのようなポイントを意識して作成するか。
ひとつずつ考えていきましょう。
まずは材料となる革材の加工です。
馴染みが良いように柔らかいショルダーを使います。
このショルダーには吟面がありますのでこの吟面をむいてしまいます。
※吟面とは革の表層部分のこと
吟面をむくことのメリットは、
・ひび割れしにくくなる
・汗の吸い込みがよくなる
・靴の中で足が滑りにくくなる
などが挙げられます。
次にトレースです。
履き込んでいるので足の形に変形しお椀型になっています。
この湾曲を指で押さえて平面に近づけます。
その状態でトレースし切り抜きます。
そのままだと平面的な中底になりますので底面のアールを癖づけます。
さらにシャンクの角度と合うように調整します。
形状やポジションが決まったらアッパーを吊り込みます。
この時もキツすぎずゆるすぎず、できるだけ元と同じ位置に接着して固定します。
そしてここにアウトソールを貼って成型していきます。
あとは通常のオールソールと同じ手順です。
中底交換は靴の元情報が失われてしまいますのでそれなりにリスクも伴います。
しかし然るべき手順で組み上げればまた着用することができるようになります。
たとえば私はユーズドの古靴をしばしば買うのですが、前オーナーの足型がくっきりついている場合は中底を交換してしまいます。
中底をリセットすることで不快なズレがなく1から馴染ませることができるのです。
中底交換の是非。
元情報を残したい場合とリセットしたい場合で捉え方も変わってきますね。
YUMA.
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