こんにちは。
通勤途中、わりかし大きめの公園があります。
おとついくらいから
金木犀の香りが公園のどこからともなく漂ってきて
とても良い心持ちになります。
去年の今時分は目黒のはずれに住んでおりまして
近所の庭に金木犀がありました。
だから秋になりそこの庭を通り過ぎるたび
ああ、いい匂いだな。
と風流な気分に浸ったものでした。
墨田に越してきて初めての秋ですが
新たなキンモクスポットを発見できてよかったです。
しかしひとつトラップが。
くだんの金木犀のすぐ近くにイチョウの樹がありまして
そいつもまた強烈なニオイを放っておるのです。
胸いっぱい吸い込んだ金木犀の匂いが次の瞬間、
胸いっぱいの銀杏臭に……
うーん、マンダム。
でも炒り銀杏は居酒屋でかならず注文します。
ほんとは無限に食べたいけど
過剰摂取は中毒になるらしいのでそこそこに。
さて、本日はグッチのスタッズローファーのお修理です。
一見、どこを直すの?ってな状態ですが、
つま先に注目。
歩行時ふみこむたびに、つま先アッパーが大きく潰れて地面とこすれてしまうのです。
(上記画像は足入れ状態を手で再現したもの)
芯材の入っていない「袋モカ」という形状に加えてコバの張り出しがほとんどないのが要因です。
「袋モカ」はとても屈曲性がよく軽快な履き心地が魅力ですが、
このペアのように一歩ごとにアッパーがダメージを受けるとなっては
履くのも気が引けてしまいます。
そこで今回はフィッティングに干渉しない程度の
ごくごく薄い補強芯材をつま先に追加しました。
それがこれ。
実は鞄や革小物に使われることが多いパルプ系の芯材。
画像はつま先形状に合わせて切り出したもの。
靴では床革や溶剤芯といった、がちがちに固まる芯材を使いますが
屈曲性を求められる鞄ではこういったタイプが採用されています。
パルプといっても侮るなかれ。
仕込みに工夫をこらせば十分な強度がでます。
紙はペラペラのままでは弱いですが、曲げてあげることで
その垂直方向からの力に強くなります。
その特性を利用してアッパー潰れを解消していきます。
切り出した芯材は貼り合わせのぼこつきが出ないように
端っこを薄く漉いておきましょう。

(←漉き加工前:漉き加工後→)
次に補強用テープを芯材に貼っていきますがここでワンポイント!
テープと芯材の屈曲をわざとずらしながら張り合わせ
芯材にアールがつくようにします。

こうすることで指で押してもひしゃげません。
こうやってできた芯材をライニング内部に仕込ませると……
仕上げにアッパーの擦り傷ふくめ全体を磨いて完成です。
今回のお修理は両足で2,800円+(TAX)
※靴の構造や状態で料金は異なります。
まずはお気軽にご相談ください。
YUMA.
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